オフィス・バオバブ
自分の想像を超えたスケールに出会ったとき、人は何を思うだろう。
工場をコンバージョンしたオフィスはこれまでにも紹介してきたけれど、これほどの大空間を内包したオフィスは、正直初めて。エストニアを代表するマスメディア企業のオフィスは、20世紀初めに建設された特殊な工場空間で、天井高さは最大12.6メートルもあるという。しかも三角屋根の半分ほどはガラス張り。晴れた日の気持ちの良さは写真を見てのとおりだが、雨の日には斜面をすべり落ちる雨水が、滝の裏側で働いているような壮大さを感じさせてくれそう。
その圧倒的なスケール感に、あなたはどんなイメージを思い浮かべるだろう?
乾燥した砂地を思わせる色合いのミーティングルームも相まってか、個人的に頭に浮かんだのは、サバンナに植生するバオバブの木。サン=テグジュペリの『星の王子さま』では、星を破壊する恐怖の木として登場するけれど、惑星全体に根を張り巡らせる影響力は、企業にとって好都合ともとれそうだ。
人を驚かせる自然界の景色のように、規格外の大空間を見つけることはなかなか難しいが、訪れた人の予想をいい意味で裏切る懐の深い空間は創造力次第で作れるはず。空間のポテンシャルをベースにユーモアが散りばめられたこの空間を参考に、世の中の常識をひっくり返すスケールの大きなオフィスづくりを目指してみてはいかがだろう。
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