主体的に、くつろぐ
何かに行き詰って気分転換したいときは、部屋の場所を変えてくつろぐというのも一つの手だ。しかしサンフランシスコにあるDropboxの本社オフィスでは、ちょっとくつろぎ方が変わっている。よくある海外オフィスのように、単にテラスやバーを設けるといった発想とは少し違うのだ。
このオフィスには、地下に楽器を演奏できる場所がある。そういえば映画『エイリアン バスターズ』(ご近所同士が集まってエイリアンを退治する物語)で、作戦会議場所をリビングから、地下にある「男の隠れ家」的な場所に移動させるシーンがあるが、あの発想と同じだといえなくもない。Dropbox本社もまた、「社員の隠れ家」をちゃんと用意している。それが、「楽器を弾ける場所」なのだ。楽器とは生き物のようなもので、同じフレーズを弾いても毎回違った反応を返してくる。仲間と軽くセッションしてみるだけでも、とても脳が刺激され、気分が違ってくるだろう。
そして、このオフィスのもう一つの売りがライブラリである。その空間デザインは素晴らしく、曲線美によって落ち着いた雰囲気を醸し出している。
単にホッとくつろげる場所を作るのは良いが、受け身のくつろぎだけでなく、読書なり、演奏なり、何かしらもっと主体的なくつろぎを得られる場所を作る。それこそがまさに今後のオフィス環境に求められる姿勢かもしれない。重力に逆らうほどの発想の転換や創造力の創出というのは、なかなか受け身のくつろぎだけで得られるものではない。ソファーでボーッと過ごす時間も大事だが、どれだけ思考を柔軟にできるかどうかは、いかに日常を飛び出せるかどうかにかかっているのだから。
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